フランス陸軍レシピ集CUISINE MILITAIRE FRANÇAISE · ARCHIVES
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ポトフの大釜と、
移動する厨房があった。

1908年の公式料理書『駐屯地軍隊料理書(Livre de cuisine militaire en garnison)』から、1909年の『演習・野戦軍隊料理書』まで。フランス陸軍の調理兵たちが100人前の大釜で作った料理を、公開された転記・翻訳で確認した原典の内容と、材料・作り方の現代語訳で読む史料レシピ集です。帝国海軍レシピ集の姉妹編として、同じ形式でまとめました。

収録方針と訳について:原書はフランス国立図書館のデジタル図書館Gallicaで無料公開されています。本ページでは、その原書にもとづく公開転記(1918年のポーランド語版を含む転記資料)と英訳で内容を確認できた料理だけを載せています。各レシピの「フランス語版」欄は、原書からの逐語転記ではなく、確認した料理名・分量・手順をフランス語に再構成したもので、「フランス語版(公開転記にもとづく再構成)」と明記します。確認できない内容を創作して載せることはしません。分量は原典の基準(駐屯地版は100人前、野戦版は4人前)をそのまま記し、駐屯地版には4人分の換算も併記しました(換算は目安です)。

馬に牽かれた移動厨房車(キュイジーヌ・ルーラント)の周りで、湯気の立つ銅の大釜をかき混ぜ、じゃがいもや人参の下ごしらえをする、水平線ブルーの軍服とアドリアン鉄帽姿のフランス兵調理員たちを描いたイラスト
挿絵:移動厨房車(キュイジーヌ・ルーラント)の周りで調理する様子を描いたイラストレーション(写真ではありません)

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三つの出典

フランス陸軍の食は、部隊の共同会計で食材を買う「オルディネール(ordinaire)」という仕組みと、大釜(マルミット)を中心に回っていました。ここで扱うのは、駐屯地の大厨房のための公式料理書と、野外のための薄い実用書、そして内容確認に使った翻訳資料です。

1908明治41年

Livre de cuisine militaire en garnison(駐屯地軍隊料理書)

駐屯地の厨房のための公式料理書。基礎知識からスープ、卵、魚、肉、野菜、サラダ、菓子、ソース、生地まで全180項目を収め、分量は原則100人前。本ページの中心的な出典で、各レシピに原書の項目番号(No.)を記しました。

発行:1908年/パリ、Librairie militaire R. Chapelot et Cie(164ページ)
1909明治42年

Livre de cuisine militaire aux manœuvres et en campagne(演習・野戦軍隊料理書)

戦争省公式通達集に収められた、演習と野戦のための44ページの小冊子。分量は4人前が基準で、鍋2つで作る「脂のスープ(Soupe grasse)」など、野外の制約に合わせた作り方が残ります。1909年7月7日付け版。

発行:1909年/Bulletin officiel du Ministère de la guerre
1918大正7年

Kuchnia garnizonowa(駐屯地料理・ポーランド語版)

1908年版を、フランスで編成されたポーランド軍のために翻訳した『Kuchnia garnizonowa oraz wskazówki tyczące się racjonalnego odżywiania wojska』。本ページでは、原書の内容を確認するための公開転記資料として、ロシア語の転記データベース(Wikibooks)とあわせて参照しました。

発行:1918年/パリ、Drukarnia narodowa(205ページ)

レシピを探す

カテゴリと出典で絞り込めます。各レシピは「材料(現代語訳)」「4人分換算(駐屯地版のみ)」「フランス語版(公開転記にもとづく再構成)」「原典の内容」「作り方(現代語訳)」の順で読めます。材料の現代語訳では、フランス語の材料名を今の日本の言い方に置き換え(saindoux→ラード、pommes de terre→じゃがいも、bouquet garni→ブーケガルニなど)、分量そのものは転記で確認した原典の記載のままにしています。分量の基準は出典ごとに違います――駐屯地版は100人前、野戦版は4人前――ので、各レシピの冒頭に明記しました。

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原典を読むための用語集

フランス陸軍の厨房には、独特の仕組みと調理言葉があります。現代語訳を読む手がかりに。

オルディネール(ordinaire)
部隊の共同食事会計。兵士の給与から食材費を出し合い、調理兵が市場で買い出しをして大釜で調理する、フランス陸軍の給食の基本単位だった。
マルミット(marmite)
大釜。100人前のスープを煮る厨房の中心で、「ポトフ(pot-au-feu)」は文字どおり「火にかけた鍋」を指す。
ブーケガルニ(bouquet garni)
タイム、ローリエ、パセリなどを束ねた香味束。煮込みの風味の土台で、供する前に取り除く。
パン・ド・ゲール(pain de guerre)
「戦用パン」。長期保存用の堅い乾パン。粉にして生地やスープに再利用する工夫が原典に何度も出てくる。
グラース・マニエ(graisse maniée)
脂と小麦粉を練り合わせた「練り脂」。煮込みの仕上げにとろみを付ける手法で、ルウを後から溶かし込む形。
キュイジーヌ・ルーラント(cuisine roulante)
馬で牽く移動厨房車。第一次大戦期に広まり、前線の兵士(ポワリュ)に温かいスープを届けた。
ラタ(rata)
野戦の煮込み全般を指す兵士の俗語。手に入る肉と野菜を大釜で煮たもので、「食事」そのものの代名詞にもなった。
ガメル(gamelle)
兵士個人の飯盒。配食の単位でもあり、野戦版の分量は「飯盒1杯」といった表し方もされる。

出典・原典にあたるには

このページの材料と手順は、以下の公開された原書・転記・翻訳で確認した原典の内容に基づきます。

よくある質問

フランス陸軍レシピ集について、よく寄せられる質問への回答です。

このサイトはどんなサイトですか。

1908年の『駐屯地軍隊料理書』と1909年の『演習・野戦軍隊料理書』に残るフランス陸軍のレシピ27品を、材料と作り方の現代語訳、フランス語版とともに読める、無料の史料レシピ集です。

レシピの出典は何ですか。

原書はフランス国立図書館のデジタル図書館 Gallica で公開されています。本ページでは公開転記と翻訳で内容を確認できたものだけを収録し、各レシピに出典を明記しています。

フランス語版は原書の原文ですか。

いいえ。フランス語版は、確認できた原典の内容をもとにフランス語で再構成した「公開転記にもとづく再構成」で、原文の逐語転記ではありません。各レシピにその旨を表示しています。

分量が100人前なのはなぜですか。

駐屯地版の原典が100人前を基準に書かれているためです。駐屯地版のレシピには4人分の換算(概算)も併記しています。野戦版は4人前が基準です。

利用は無料ですか。登録は要りますか。

すべて無料で、登録も不要です。ブラウザだけで読めます。